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山形大学 2016 人文学部 第3問 (ベクトル)

問題

△ABCにおいて、AB=\sqrt{3}, BC=\sqrt{5}, AC=2 とする。辺BC 上に点B と異なる点P があり、AP=\sqrt{3} とする。また、辺AB の中点をQ、線分APCQ との交点を R とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) 内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}△ABC の面積 S を求めよ。
(2)\overrightarrow{AP}\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を用いて表せ。
(3)△AQR の面積 T を求めよ。

解答(1)

とりあえず図をかく

内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC} を求める

定義より、
\begin{eqnarray} \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}&=&|\overrightarrow{AB}||\overrightarrow{AC}|cos∠BAC\\&=&2\sqrt{3}cos∠BAC\end{eqnarray}

△ABC余弦定理を使って、
{BC}^2={AB}^2+{AC}^2-2{AB}\cdot{AC}cos∠BAC

題より、AB=\sqrt{3}, BC=\sqrt{5}, AC=2 なので、
5=3+4-4\sqrt{3}cos∠BAC

したがって、cos∠BAC の値は、
\displaystyle cos∠BAC=\frac{2}{4\sqrt{3}}=\frac{1}{2\sqrt{3}}

ゆえに、内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC} の値は、
\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=2\sqrt{3}cos∠BAC=1

△ABC の面積 S を求める

S=\frac{1}{2}AB\cdot{AC}\cdot{sin∠BAC}=\sqrt{3}sin∠BAC

ここで、\displaystyle cos∠BAC=\frac{1}{2\sqrt{3}} なので、

\displaystyle \begin{eqnarray}{sin}^2∠BAC&=&1-{cos}^2∠BAC\\&=&1-\frac{1}{12}=\frac{11}{12}\end{eqnarray}

0<∠BAC<π より、0<{sin∠BAC}<1 なので、

\displaystyle {sin∠BAC}=\frac{\sqrt{11}}{2\sqrt{3}}

ゆえに、
\displaystyle S=\sqrt{3}{sin∠BAC}=\frac{\sqrt{11}}{2}

解答(2)

(問題再掲)(2)\overrightarrow{AP}\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を用いて表せ。

解答の方針

AP=\sqrt{3} を使わないと解けない。
また、\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を使って表すので、
\overrightarrow{AP}=t\overrightarrow{AB}+(1-t)\overrightarrow{AC} とおいてすすめるのが良さそう。
P は辺BC上にあって、点B, C と一致しないから、0 であることに注意。

計算パート...(とばして次の見出しから見てok)

\begin{eqnarray}|\overrightarrow{AP}|^2=t^2|\overrightarrow{AB}|^2+2t(1-t)\overrightarrow{AB}\cdot{\overrightarrow{AC}}+(1-t)^2|\overrightarrow{AC}|^2\end{eqnarray}

分かっている数字をすべて代入して、
3=3t^2+2t(1-t)+4(1-t)^2
3=5t^2-6t^2+4
5t^2-6t+1=0
(5t-1)(t-1)=0
\displaystyle t=\frac{1}{5}, 1

{0}<{t}<{1} なので、t=1 は不適。
よって、\displaystyle t=\frac{1}{5} となるから、

\displaystyle \overrightarrow{AP}=\frac{1}{5}\overrightarrow{AB}+\frac{4}{5}\overrightarrow{AC}

解答(3)

(問題再掲)(3)△AQR の面積 T を求めよ。

問題できかれていることをすり替える

△AQR の面積を直接求めようとすると、かなり難しそう、というか面倒くさそうな気がするのではないでしょうか。
△ABC の面積は問題(1)で出しているので、それを使いましょう。
△AQR△ABC の何倍か。」という問題を解くことにします。
この問題が解ければ、△ABC の面積がわかっているため、△AQR の面積も求められます。

底辺スライド作戦(例題)

突然ですが、下の図を見てください。

MK=2, KN=5 です。
このとき、△LMKLMN の面積比を求めよ。という問題が出たら、
MK=2, MN=7 なので、△LMK: △LMN=2:7
となります。これを私は「底辺スライド」と呼んでいるのですが、これを使って解いていきます。

底辺スライド作戦(問題(3))

図を再掲します。

問題(2)の結果から、BP:PC=4:1 を図に入れています。


\displaystyle AQ=\frac{1}{2}AB なので、\displaystyle △AQR=\frac{1}{2}△ABR

AR:AP は今のところ分かっていません。
k>0を満たす実数k を使って、△ABR=k△ABP とおきましょう。

BP:BC=4:5 なので、\displaystyle △ABP=\frac{4}{5}△ABC

問題(1)より、\displaystyle △ABC=\frac{\sqrt{11}}{2}

以上より、
\displaystyle \begin{eqnarray}△AQR&=&\frac{1}{2}△ABR=\frac{1}{2}k△ABP\\&=&\frac{1}{2}k\left(\frac{4}{5}△ABC\right)=\frac{2}{5}k△ABC=\frac{\sqrt{11}}{5}k\end{eqnarray}

あと少し。k の値が分かればゴールです。

メネラウスの定理

見出しの通り、メネラウスの定理を使います。
下の図を見ると分かりやすくなるのではないでしょうか。

メネラウスの定理より、
\displaystyle \frac{CP}{BC}\cdot\frac{RA}{PR}\cdot\frac{QB}{AQ}=1

\displaystyle \frac{1}{5}\cdot\frac{RA}{PR}\cdot\frac{1}{1}=1

\displaystyle \frac{RA}{PR}=5

よって、AR:AP=5:6
すなわち、\displaystyle k=\frac{5}{6}

ゆえに、\displaystyle △AQR=\frac{\sqrt{11}}{5}k=\frac{\sqrt{11}}{5}\cdot\frac{5}{6}=\frac{\sqrt{11}}{6}
となります。


まとめ
いかがだったでしょうか。
(1)は定義から解く問題で、基礎問題でした。
(2)は AP=\sqrt{3} でしか点Pが特徴づけられていないことさえ分かっていればいけそうですね。
(3)はメネラウスの定理を使うのが見えるかどうかがキーポイントでした。


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