mathpipoの高校数学

高校数学のこと書きます

東京大学 2015 文系 第1問 (整数の性質)

問題

以下の命題A, B それぞれに対し、その真偽を述べよ。また、真ならば証明を与え、偽ならば判例を与えよ。

命題A: n が正の整数ならば、\displaystyle \frac{n^3}{26}+100≧n^2 が成り立つ。
命題B: 整数 n, m, l5n+5m+3l=1 をみたすならば、10nm+3ml+3nl<0 が成り立つ。

解答(命題A)

問題の式を整理すると、
n^3-26n^2+2600≧0
となります。これを証明しにかかります。
解き方は想像以上にシンプルで、グラフをかくだけ
こんな3次不等式を式変形だけで解く術なんて知らない人が大多数でしょう。
しかし、グラフをかいて常に0以上かどうかくらいなら、微積の力を借りれば確かめられそうです。

f(n)=n^3-26n^2+2600 とおくと、

f'(n)=3n^2-52n=n(3n-52)

増減表は次のようになる。
\displaystyle \begin{array}{|c|*4{c|}}\hline n&0&\cdots&\frac{52}{3}&\cdots\\ \hline f'(n)&0&-&0&+\\ \hline f(n)&f(0)&\searrow&f(\frac{52}{3})&\nearrow\\ \hline \end{array}

あたかもn は0以上の実数かのようにかきましたが、本当は自然数です。
\frac{52}{3}=17.333... なので、n=17, 18 を確認すれば良さそうです。

\begin{eqnarray}f(17)&=&17^3-26\cdot17^2+2600\\&=&17^3-26(17^2-100)\\&=&17^3-26\cdot189\\&=&4913-4914=-1<0 \end{eqnarray}

f(17)<0 となってしまいました。ということは、さかのぼっていくと、題の式にn=17 を代入すると不等式が成立しないことになります。
ゆえに、命題Aは偽。また、反例はn=17

解答(命題B)

(問題再掲)命題B: 整数 n, m, l5n+5m+3l=1 をみたすならば、10nm+3ml+3nl<0 が成り立つ。

似ているところを探す

どちらの式にも3l が含まれていることに気づくでしょうか。
10nm+3ml+3nl<0 の式を変形すると、
10nm+3l(m+n)<0 となります。
これはなんだか利用できそうです。

5n+5m+3l=1 より、3l=1-5(m+n)

したがって、
\begin{eqnarray} 10nm+3ml+3nl&=&10nm+3l(m+n)\\&=&10nm+\{1-5(m+n)\}(m+n)\\&=&10nm+m+n-5(m+n)^2\\&=&-5m^2+m-5n^2+n\end{eqnarray}

となる。ここで、-5m^2+m=-m(5m-1) より、-5m^2+m<0 となる範囲を求めると、
\displaystyle m<0, \frac{1}{5}<{m}

m は整数なので、m=0 以外の整数では -5m^2+m の値は負になる。

同様にして、n=0 以外の整数では -5n^2+n の値は負になる。

すなわち、-5m^2+m-5n^2+n の値は、m=n=0 のときのみ0, それ以外のときは負の値をとる。

ここで、5n+5m+3l=1 より、m=n=0 のとき、l=\frac{1}{3} となり整数でなくなるから、m=n=0 になることはない。

以上より、整数 n, m, l5n+5m+3l=1 をみたすならば、10nm+3ml+3nl<0 が成り立つ。

まとめ

いかがだったでしょうか。
どちらも難しい問題ではありません。難しいと感じた方は、整数の範囲の問題を繰り返し解いて経験値を上げるようにしましょう。


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JMO予選 2018 第4問(整数の性質)

JMOというのは、「日本数学オリンピック」のことです。
毎年開催されていて、だいたい10問ちょっとの問題が出されます。
後半の問題は正直なところ自分も解けないような問題が並んでいたりするのですが、今回は序盤にある問題を1つ紹介します。

問題

1111^{2018}11111 で割った余りを求めよ。

解答

11111=1111\cdot10+1 であることと、「数字が大きければ小さいもので具体例を出す」の法則、この2つを使えば解ける問題です。

具体例を出してみる

2018乗はさすがに大きすぎるので、小さいものからやっていきます。

1111^1=11111\cdot0+1111

もう少しやってみます。

\begin{eqnarray}1111^2&=&1111\cdot1111\\&=&1111\cdot1110+1111\\&=&111(1111\cdot10)+1111\\&=&\{111(1111\cdot10+1)-111\}+1111\\&=&111\cdot11111+1000\end{eqnarray}

余りが1000と、とてもきれいな数字になりました。
もう少しやってみます。

\begin{eqnarray}1111^3&=&1111^2\cdot1111\\&=&1111(111\cdot11111+1000)\\&=&11111C_1+1000\cdot1111\\&=&11111C_1+100(1111\cdot10)\\&=&11111C_1+100(1111\cdot10+1)-100\\&=&11111C_2-100\end{eqnarray}

上の式途中で出てきたC_1, C_2 はどちらも整数です。
計算するのが面倒ですし、する必要はないので、文字でまとめてしまって余りだけに注目します。
余りが-100と、またきれいな数字になりました。先ほどよりも桁数が小さく、なんだかいい感じがします。
まだやってみましょう。

\begin{eqnarray}1111^4&=&1111(11111C_2-100)\\&=&11111C_3-1111\cdot100\\&=&11111C_3-10(1111\cdot10)\\&=&11111C_3-10(1111\cdot10+1)+10\\&=&11111C_4+10\end{eqnarray}

先ほどと同様、C_3, C_4 は整数です。
まだいけそうなので計算します。

\begin{eqnarray}1111^5&=&1111(11111C_4+10)\\&=&11111C_5+11110\\&=&11111C_5+(11111-1)\\&=&11111C_6-1\end{eqnarray}

とてもきれいになりました。もちろん、C_5, C_6 は整数です。ここまでくればほとんどゴール、2018乗を計算するだけです。

\begin{eqnarray}1111^{2018}&=&(1111^5)^{403}\cdot1111^3\\&=&(11111C_6-1)^{403}(11111C_2-100)\\&=&(11111C_7-1)(11111C_2-100)\\&=&11111C_8+100\end{eqnarray}
(C_7, C_8 は整数)

以上より、1111^{2018}11111 で割った余りは、100

まとめ

いかがだったでしょうか。
見慣れない問題ですが、2018乗を計算する前に、2乗や3乗ならどうなるかを実験しさえすれば解ける問題でした。
このように大きな数字が出てきたり、文字がたくさん出てきてこんがらがったときは、小さな数字で具体例を出してみるようにしましょう。


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東京大学 2014 文系 第4問 (総合問題)

問題

r を0以上の整数とし、数列\{a_n\} を次のように定める。

a_1=r
a_2=r+1
a_{n+2}=a_{n+1}(a_n+1) (n=1, 2, 3, ...)

また、素数p を1つとり、a_np で割った余りを b_n とする。ただし、0を p で割った余りは0とする。

(1) 自然数n に対し、b_{n+2}b_{n+1}(b_n+1)p で割った余りと一致することを示せ。

(2) r=2, p=17 の場合に、10以下のすべての自然数 n に対して、b_n を求めよ。

(3) ある2つの相異なる自然数 n, m に対して、
b_{n+1}=b_{m+1}>0
b_{n+2}=b_{m+2}
が成り立ったとする。このとき、b_n=b_m が成り立つことを示せ。

解答(1)

a_np で割った商を c_n とおくと、
a_n=pc_n+b_n (ただし0≦{b_n}<{p})
\begin{eqnarray}a_{n+2}&=&a_{n+1}(a_n+1)\\&=&(pc_{n+1}+b_{n+1})(pc_n+b_n+1)\\&=&p\{pc_{n+1}c_n+b_{n+1}c_n+(b_n+1)c_{n+1}\}+b_{n+1}(b_n+1)\end{eqnarray}

ここで、b_{n+1}(b_n+1)p で割ったときの余りを x_n, 商を y_n とすると (0≦{x_n}<{p})、

b_{n+1}(b_n+1)=py_n+x_n

この式を使うと、
a_{n+2}=p\{pc_{n+1}c_n+b_{n+1}c_n+(b_n+1)c_{n+1}+y_n\}+x_n

また、a_{n+2}=pc_{n+2}+b_{n+2} で,
0≦{b_{n+2}}<{p}, 0≦{x_n}<{p} であるから、
b_{n+2}=x_n

以上より、b_{n+2}b_{n+1}(b_n+1)p で割った余りと一致する。

解答(2)

(問題再掲)(2)r=2, p=17 の場合に、10以下のすべての自然数 n に対して、b_n を求めよ。

問題(1)の結果を利用して解く

b_1 は、a_1=2 を17で割った余りだから、b_1=2
b_2 は、a_2=3 を17で割った余りだから、b_2=3
問題(1)の結果より、b_3b_2(b_1+1)=9 を17で割った余りになるから、b_3=9
同様にして、b_4b_3(b_2+1)=36 を17で割った余りになるから、b_4=2
b_5b_4(b_3+1)=20 を17で割った余りになるから、b_5=3
以下、同じ計算となり、
b_6=9, b_7=2
b_8=3, b_9=9
b_10=2

解答(3)

(問題再掲)(3)ある2つの相異なる自然数 n, m に対して、
b_{n+1}=b_{m+1}>0
b_{n+2}=b_{m+2}
が成り立ったとする。このとき、b_n=b_m が成り立つことを示せ。

問題(1)が誘導になっている

問題(1)の結果より、
b_{n+2} は、b_{n+1}(b_n+1)p で割った余りに等しく、
b_{m+2} は、b_{m+1}(b_m+1)p で割った余りに等しい。


また、題より、b_{n+2}=b_{m+2} なので、
b_{n+1}(b_n+1)p で割った余りと、b_{m+1}(b_m+1)p で割った余りは等しい。
言い換えると、b_{n+1}(b_n+1)b_{m+1}(b_m+1) の差は p の倍数になるとわかります。


題より、b_{n+1}=b_{m+1} なので、
b_{n+1}(b_n+1)b_{n+1}(b_m+1) の差は p の倍数になります。
後は式にするだけです。


b_{n+1}(b_n+1)-b_{n+1}(b_m+1)=b_{n+1}(b_n-b_m)


b_{n+1}>0 より、b_{n+1}\neq0 であり、b_{n+1}p の倍数ではない。
よって、(b_n-b_m)p の倍数になる。


ここで、0≦b_n<{p}, 0≦b_m<{p}, なので、
-{p}<(b_n-b_m)<{p}


この範囲で、(b_n-b_m)p の倍数なので、
b_n-b_m=0


ゆえに、b_n=b_m

まとめ

いかがだったでしょうか。
問題(3)は少し難しかったかもしれませんが、問題(1)(2)は自力で解けるようにしておきたいですね。
前の問題が誘導になっていることも多いので、難しい問題で行き詰った場合は思い返してみてください。


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東京大学 2014 文系 第2問 (総合問題)

問題

a自然数(すなわち1以上の整数) の定数とする。白球と赤球があわせて1個以上入っている袋Uに対して、次の操作(*)を考える。

(*) 袋Uから球を1個取り出し、
(i) 取り出した球が白球のときは、袋Uの中身が白球 a 個、赤球1個となるようにする。
(ii) 取り出した球が赤球のときは、その球を袋Uへ戻すことなく、袋Uの中身はそのままにする。

はじめに袋Uの中に、白球が a+2 個、赤球が1個入っているとする。この袋Uに対して操作(*)を繰り返し行う。
たとえば、1回目の操作で白球が出たとすると、袋Uの中身は白球 a 個、赤球1個となり、さらに2回目の操作で赤球が出たとすると、袋Uの中身は白球 a 個のみとなる。
n 回目に取り出した球が赤球である確率を p_n とする。ただし、袋Uの中の個々の球の取り出される確率は等しいものとする。

(1) p_1, p_2 を求めよ。

(2) n≧3 に対して p_n を求めよ。

解答(1)

p_1 は、白球 a+2 個と赤球1個の中から赤球を選ぶ確率なので、
\displaystyle p_1=\frac{1}{a+3}

p_2 は、最初に袋U(白球 a+2 個, 赤球1個) から白球を取り出し、次に袋U(白球 a 個, 赤球1個) から赤球を取り出す確率なので、
\displaystyle p_2=\frac{a+2}{a+3}\cdot\frac{1}{a}=\frac{a+2}{a(a+3)}

解答(2)

(問題再掲) n≧3 に対して p_n を求めよ。

具体例を出して考える

n=3 のときについて考えてもいいのですが、問題(1)で既に n=2 のときについて計算しているのでそれを参考にしましょう。
p_2 を計算するとき、1回目で白球が出て、2回目で赤球が出る確率を出したのでした。
同じようにすると、p_{n+1} は、n 回目で白球が出て、(n+1) 回目で赤球が出る確率になります。
これを式で表すと、次のようになります。
\displaystyle p_{n+1}=(1-p_n)\cdot\frac{1}{a+1}


漸化式ですね。この式から一般項を出せればおしまいです。

計算パート...

特性方程式は、\displaystyle  x=(1-x)\cdot\frac{1}{a+1}
これを解くと、\displaystyle x=\frac{1}{a+2}
漸化式を変形して、
\displaystyle  p_{n+1}-\frac{1}{a+2}=-\frac{1}{a+1}(p_{n}-\frac{1}{a+2})

よって、数列 \displaystyle \{p_n-\frac{1}{a+2}\} は、
初項\displaystyle  p_1-\frac{1}{a+2}=\frac{1}{a+3}-\frac{1}{a+2}=-\frac{1}{(a+2)(a+3)}
公比が\displaystyle  -\frac{1}{a+1}等比数列である。

\displaystyle  p_n-\frac{1}{a+2}=(-\frac{1}{a+1})^{n-1}\cdot(-\frac{1}{(a+2)(a+3)})

\displaystyle  p_n=\frac{1}{a+2}+\frac{(-1)^n}{(a+1)^{n-1}(a+2)(a+3)}

まとめ

確率と漸化式の融合問題でした。
このような問題は入試問題でよく見かけます。いくつかやっておくことをお勧めします。
また、問題(2)の途中で出てきた「特性方程式」が分からない方は、下にある漸化式の記事を見てみてください。
mathpipo.hatenablog.com


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漸化式のまとめ

数列の範囲ではいろいろな漸化式の問題がありますが、漸化式について「これだけは知っていてほしい!」と思う知識をまとめてみました。どれか一つでも解けなかったら、しっかりと覚えて帰っていってください!

等差数列の漸化式a_{n+1}=a_n+d

例題

a_{n+1}=a_n+5, a_1=3 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

数列 \{a_n\} は、初項3, 公差5 の等差数列なので、その一般項は、
a_n=5n-2

等比数列の漸化式a_{n+1}=ra_n

例題

a_{n+1}=2a_n, a_1=3 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

数列 \{a_n\} は、初項3, 公比2 の等比数列なので、その一般項は、
a_n=3\cdot2^{n-1}

階差数列の漸化式a_{n+1}=a_n+f(n)

例題

a_{n+1}=a_n+3n+2, a_1=5 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

a_{n+1}-a_n=3n+2 より、数列\{a_n\} の階差数列 \{b_n\} の一般項は、
b_n=3n+2
よって、n≧2 のとき、
\displaystyle\begin{eqnarray} a_n&=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\\displaystyle &=&5+\sum_{k=1}^{n-1}(3k+2)\\\displaystyle &=&5+3\cdot\frac{1}{2}n(n-1)+2(n-1)\\&=&\frac{3}{2}n^2+\frac{1}{2}n+3\end{eqnarray}
上の一般項は、n=1 のときにも成り立つ。
したがって、すべての自然数n について、
\displaystyle a_n=\frac{3}{2}n^2+\frac{1}{2}n+3

隣接2項間の漸化式 a_{n+1}=pa_n+q

例題

a_{n+1}=5a_n-4, a_1=3 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

特性方程式は、x=5x-4
(このタイプの漸化式の場合、a_{n+1}→x, a_n→x と置き換えて解く。)
これを解くと、x=1
a_{n+1}-x=5(a_n-x) となることが分かっています(証明略)。よって、
a_{n+1}-1=5(a_n-1)
数列\{a_n-1\} は、初項 a_1-1=2, 公比5 の等比数列なので、
a_n-1=2\cdot5^{n-1}
よって、
a_n=1+2\cdot5^{n-1}

隣接3項間の漸化式a_{n+2}+pa_{n+1}+qa_n=0

例題

a_{n+2}+3a_{n+1}+2a_n=0, a_1=1, a_2=5 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

特性方程式は、x^2+3x+2=0
(このタイプの漸化式の場合、a_{n+2}→x^2, a_{n+1}→x, a_n→1 と置き換える)
これを解くと、x=-1, -2
特性方程式の解がx=α, β のとき、
a_{n+2}-αa_{n+1}=β(a_{n+1}-αa_n)
となることが分かっているので(証明略),

a_{n+2}+a_{n+1}=-2(a_{n+1}+a_n)\tag{1}
a_{n+2}+2a_{n+1}=-(a_{n+1}+2a_n)\tag{2}

(1)式より、数列\{a_{n+1}+a_n\} は初項 a_2+a_1=6, 公比-2等比数列なので、
a_{n+1}+a_n=6\cdot(-2)^{n-1}\tag{3}
(2)式より、数列\{a_{n+1}+2a_n\} は初項 a_2+2a_1=7, 公比-1等比数列なので、
a_{n+1}+2a_n=7\cdot(-1)^{n-1}\tag{4}

(4)-(3)より、
a_n=7\cdot(-1)^{n-1}-6\cdot(-2)^{n-1}\tag{5}

逆数を取るタイプの漸化式

例題

\displaystyle a_{n+1}=\frac{a_n}{4a_n+3}, a_1=-1 のとき、一般項 a_n を求めよ。

解答

逆数をとって、
\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}=\frac{4a_n+3}{a_n}=4+\frac{3}{a_n}
ここで、\displaystyle b_n=\frac{1}{a_n} とおくと、
\displaystyle b_{n+1}=4+3b_n
この式を変形すると(計算方法は「隣接2項間の漸化式」を参照)
b_{n+1}+2=3(b_n+2)
よって、数列\{b_n+2\} は初項b_1+2=1, 公比3 の等比数列なので、
b_n+2=3^{n-1}
ゆえに、\displaystyle a_n=\frac{1}{b_n}=\frac{1}{3^{n-1}-2}

指数r^n で割るタイプの漸化式a_{n+1}=pa_n+r^n

例題

a_{n+1}=4a_n+5^n, a_1=0 のとき、一般項a_n を求めよ。

解答

両辺を5^n で割って、
\displaystyle \frac{a_{n+1}}{5^n}=\frac{4a_n}{5^n}+1
ここで、\displaystyle \frac{a_n}{5^n}=b_n とおくと、
\displaystyle 5b_{n+1}=4b_n+1
この式を変形すると、(計算方法は「隣接2項間の漸化式」を参照))
5(b_{n+1}-1)=4(b_n-1)
両辺を5で割って、
\displaystyle b_{n+1}-1=\frac{4}{5}(b_n-1)
したがって、数列\{b_n-1\} は初項b_1-1=-1, 公比\displaystyle \frac{4}{5}等比数列なので、
\displaystyle b_n-1=-\left(\frac{4}{5}\right)^{n-1}
ゆえに、\displaystyle b_n=1-\left(\frac{4}{5}\right)^{n-1}
よって、\displaystyle a_n=5^nb_n=5^n-5\cdot4^{n-1}

まとめ

いかがだったでしょうか。
他にもたくさん漸化式はありますが、中でも大事であろう物をピックアップしました。
どれも模試や入試でよく見かけるものです。すべて解けるようにしておきましょう。


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山形大学 2016 人文学部 第3問 (ベクトル)

問題

△ABCにおいて、AB=\sqrt{3}, BC=\sqrt{5}, AC=2 とする。辺BC 上に点B と異なる点P があり、AP=\sqrt{3} とする。また、辺AB の中点をQ、線分APCQ との交点を R とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) 内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}△ABC の面積 S を求めよ。
(2)\overrightarrow{AP}\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を用いて表せ。
(3)△AQR の面積 T を求めよ。

解答(1)

とりあえず図をかく

内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC} を求める

定義より、
\begin{eqnarray} \overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}&=&|\overrightarrow{AB}||\overrightarrow{AC}|cos∠BAC\\&=&2\sqrt{3}cos∠BAC\end{eqnarray}

△ABC余弦定理を使って、
{BC}^2={AB}^2+{AC}^2-2{AB}\cdot{AC}cos∠BAC

題より、AB=\sqrt{3}, BC=\sqrt{5}, AC=2 なので、
5=3+4-4\sqrt{3}cos∠BAC

したがって、cos∠BAC の値は、
\displaystyle cos∠BAC=\frac{2}{4\sqrt{3}}=\frac{1}{2\sqrt{3}}

ゆえに、内積\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC} の値は、
\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=2\sqrt{3}cos∠BAC=1

△ABC の面積 S を求める

S=\frac{1}{2}AB\cdot{AC}\cdot{sin∠BAC}=\sqrt{3}sin∠BAC

ここで、\displaystyle cos∠BAC=\frac{1}{2\sqrt{3}} なので、

\displaystyle \begin{eqnarray}{sin}^2∠BAC&=&1-{cos}^2∠BAC\\&=&1-\frac{1}{12}=\frac{11}{12}\end{eqnarray}

0<∠BAC<π より、0<{sin∠BAC}<1 なので、

\displaystyle {sin∠BAC}=\frac{\sqrt{11}}{2\sqrt{3}}

ゆえに、
\displaystyle S=\sqrt{3}{sin∠BAC}=\frac{\sqrt{11}}{2}

解答(2)

(問題再掲)(2)\overrightarrow{AP}\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を用いて表せ。

解答の方針

AP=\sqrt{3} を使わないと解けない。
また、\overrightarrow{AB}\overrightarrow{AC} を使って表すので、
\overrightarrow{AP}=t\overrightarrow{AB}+(1-t)\overrightarrow{AC} とおいてすすめるのが良さそう。
P は辺BC上にあって、点B, C と一致しないから、0 であることに注意。

計算パート...(とばして次の見出しから見てok)

\begin{eqnarray}|\overrightarrow{AP}|^2=t^2|\overrightarrow{AB}|^2+2t(1-t)\overrightarrow{AB}\cdot{\overrightarrow{AC}}+(1-t)^2|\overrightarrow{AC}|^2\end{eqnarray}

分かっている数字をすべて代入して、
3=3t^2+2t(1-t)+4(1-t)^2
3=5t^2-6t^2+4
5t^2-6t+1=0
(5t-1)(t-1)=0
\displaystyle t=\frac{1}{5}, 1

{0}<{t}<{1} なので、t=1 は不適。
よって、\displaystyle t=\frac{1}{5} となるから、

\displaystyle \overrightarrow{AP}=\frac{1}{5}\overrightarrow{AB}+\frac{4}{5}\overrightarrow{AC}

解答(3)

(問題再掲)(3)△AQR の面積 T を求めよ。

問題できかれていることをすり替える

△AQR の面積を直接求めようとすると、かなり難しそう、というか面倒くさそうな気がするのではないでしょうか。
△ABC の面積は問題(1)で出しているので、それを使いましょう。
△AQR△ABC の何倍か。」という問題を解くことにします。
この問題が解ければ、△ABC の面積がわかっているため、△AQR の面積も求められます。

底辺スライド作戦(例題)

突然ですが、下の図を見てください。

MK=2, KN=5 です。
このとき、△LMKLMN の面積比を求めよ。という問題が出たら、
MK=2, MN=7 なので、△LMK: △LMN=2:7
となります。これを私は「底辺スライド」と呼んでいるのですが、これを使って解いていきます。

底辺スライド作戦(問題(3))

図を再掲します。

問題(2)の結果から、BP:PC=4:1 を図に入れています。


\displaystyle AQ=\frac{1}{2}AB なので、\displaystyle △AQR=\frac{1}{2}△ABR

AR:AP は今のところ分かっていません。
k>0を満たす実数k を使って、△ABR=k△ABP とおきましょう。

BP:BC=4:5 なので、\displaystyle △ABP=\frac{4}{5}△ABC

問題(1)より、\displaystyle △ABC=\frac{\sqrt{11}}{2}

以上より、
\displaystyle \begin{eqnarray}△AQR&=&\frac{1}{2}△ABR=\frac{1}{2}k△ABP\\&=&\frac{1}{2}k\left(\frac{4}{5}△ABC\right)=\frac{2}{5}k△ABC=\frac{\sqrt{11}}{5}k\end{eqnarray}

あと少し。k の値が分かればゴールです。

メネラウスの定理

見出しの通り、メネラウスの定理を使います。
下の図を見ると分かりやすくなるのではないでしょうか。

メネラウスの定理より、
\displaystyle \frac{CP}{BC}\cdot\frac{RA}{PR}\cdot\frac{QB}{AQ}=1

\displaystyle \frac{1}{5}\cdot\frac{RA}{PR}\cdot\frac{1}{1}=1

\displaystyle \frac{RA}{PR}=5

よって、AR:AP=5:6
すなわち、\displaystyle k=\frac{5}{6}

ゆえに、\displaystyle △AQR=\frac{\sqrt{11}}{5}k=\frac{\sqrt{11}}{5}\cdot\frac{5}{6}=\frac{\sqrt{11}}{6}
となります。


まとめ
いかがだったでしょうか。
(1)は定義から解く問題で、基礎問題でした。
(2)は AP=\sqrt{3} でしか点Pが特徴づけられていないことさえ分かっていればいけそうですね。
(3)はメネラウスの定理を使うのが見えるかどうかがキーポイントでした。


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九州大学 2013 文 第3問 (場合の数・確率)

問題

横一列に並んだ6枚の硬貨に対して、以下の操作LとRを考える。

L :さいころを投げて、出た目と同じ枚数だけ左端から順に効果の表と裏を反転する。
R :さいころを投げて、出た目と同じ枚数だけ右端から順に効果の表と裏を反転する。

たとえば、表表裏表裏表と並んだ状態で操作 L を行うときに、3の目が出た場合は、裏裏表表裏表となる。以下、「最初の状態」とは硬貨が6枚とも表であることとする。

(1)最初の状態から操作 L を2回続けて行うとき、表が1枚となる確率を求めよ。
(2)最初の状態から L, R の順に操作を行うとき、表の枚数の期待値を求めよ。
(3)最初の状態から L, R, L の順に操作を行うとき、すべての硬貨が表となる確率を求めよ。

解答(1)

考え方(他のを思いついたらそれでok)

操作 L をすると、左端の硬貨は必ず操作の影響を受けて反転する。
操作 L を2回すると、左端の硬貨は2度反転する。
すなわち、操作 L を2度終えたあと、左端の硬貨は必ず表になる。
操作 L を2度終えて表が1枚となるとき、左端の硬貨のみが表で、それ以外の硬貨は裏になる。
こうなるのは、出たさいころの目が 1 と 6 のセットのときだけ。

全事象と求めるパターンを求める

全事象は、6^2=36 で36通り。
また、さいころの目が1と6のセットになるのは、2通り。((1, 6)と(6, 1)で2通り)
よって、操作 L を2回続けて行うとき、表が1枚となる確率は、
\displaystyle \frac{2}{36}=\frac{1}{18}

解答(2)

よく分からなくなったらとりあえず具体例

パッとしないので、いくつか具体例を出してみましょう。
さいころの目が 3, 2 の順に出たとき、裏裏裏表裏裏となり、表の硬貨は1枚。
さいころの目が 3, 3 の順に出たとき、裏裏裏裏裏裏となり、表の硬貨は0枚。
さいころの目が 3, 4 の順に出たとき、裏裏表裏裏裏となり、表の硬貨は1枚。
L で出た目を固定して数えると、そんなに時間がかかるカウンティングではなさそうなのが分かります。
テクニカルに解けるならそうしますが、私はそんなもの思いつかなかったので全部数えました。
数えたのが下の図です。

あとは期待値の計算ですね。
\displaystyle 0\cdot\frac{5}{36}+1\cdot\frac{10}{36}+2\cdot\frac{8}{36}+3\cdot\frac{6}{36}+4\cdot\frac{4}{36}+5\cdot\frac{2}{36}+6\cdot\frac{1}{36}=\frac{76}{36}=\frac{19}{9}

ということで、答えは \displaystyle \frac{19}{9} となります。

解答(3)

そろそろお気付きでしょうか。この L や R という操作は順序の交換をしても結果は変わりません。
問題(2) で図をかきました、あの図を見れば納得できると思います。

右端のコインは R の操作の影響で必ず反転する。
操作の順序を変えて最初に操作 R をすると、右端のコインは反転して裏になる。
右端のコインを表にしないといけないので、次の操作 L で出るさいころの目を6とする。
最初の操作 R で出たさいころの目が4だったら...?
最初の状態: 表表表表表表
R(操作1回目): 表表裏裏裏裏
L(操作2回目): 裏裏表表表表
となります。最後の操作 L ではさいころの目は2が出ないといけないとわかります。

上で書いたのをまとめると、こんな感じでしょうか。
1回目(操作R)でさいころの目a を出す。
2回目(操作L)でさいころの目6を出す。
3回目(操作L)でさいころの目6-a を出す。

あとは数え上げるだけ。(1回目, 2回目, 3回目)として、
(1, 6, 5), (2, 6, 4), (3, 6, 3), (4, 6, 2), (5, 6, 1)
本当の操作は1回目から順に、L, R, L でした。
なので、こうなります。
(6, 1, 5), (6, 2, 4), (6, 3, 3), (6, 4, 2), (6, 5, 1)
(5, 1, 6), (4, 2, 6), (3, 3, 6), (2, 4, 6), (1, 5, 6)
の10通り。
全事象は、6^3=216 で216通り。
よって、求める確率は、
\displaystyle \frac{10}{216}=\frac{5}{108}

まとめ

いかがだったでしょうか。
問題(2)以降、少し難しめの問題だったかもしれません。
ここに書いてあるのはあくまで一例で、他の解き方を思いついたならそれを優先してください。

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